ゴホン!顧問のタナカカツキでございます。
年末、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
学部員の皆様からは、斬新なレイアウト案を数多くお寄せいただきました。
図案スケッチを眺めているだけでも、とてもわくわくいたしますね。
私も含め、まだまだ水草レイアウト水槽については未知の部分が多く、
その“知らない”という状態こそが、奇抜で突飛な攻めの図案を生む原動力に
なっているように思います。
ただ、その図案を実際に維持管理していくにはどうすればよいか――
現実的な課題が立ちはだかることも事実です。
一方で、ただ行儀よく収まるだけの無難なレイアウトにはしたくありません。
人の心を掴む「印象」や「独創性」は、何より大切な要素。
奇抜、突飛、攻め、センセーショナル、エキセントリック…
イメージは次々と膨らみますが、私たちがいつまでも素人でいるわけにはいかず、
一見、ごく普通のレイアウトから独自の美しさを見出せる目を
手にしてしまう日が来るかもしれません。
私たちは、いつまでも無知でいるわけにはいきません。
水草や水質、生態系についてもっと学びましょう。
知ることによって、これまで体験したことのない造形感覚が得られるかもしれませんし、
自然に寄り添うことで、今まで感じ得なかったデザイン体験が生まれるかもしれません。
自然に目を向ける姿勢こそが、デザインを直接的に体験することになる――
顧問としては、そのように考えております。
「水草をレイアウトする」という行為は、
一部のマニアックなアクアリストや熱帯魚ショップの店員さんだけの特権ではありません。
むしろ私たちデザイン学部にとっては、新時代の“水のキャンバス”と呼ぶべき対象ではないでしょうか。
「水草レイアウトは、デザイン大学に任せろ!」という意気込みで、
ぜひ挑戦したい表現領域だと思います。
「水草水槽」は、インテリアとしても癒しとしても趣味としても、
さまざまな形で人々の生活に存在していますが、
私たちの学部では「水草水槽」を芸術として迎え入れたいのです。
なぜなら、その中にはあらゆる美のエッセンスが詰まっているから。
ガラスケースという額縁、水というキャンバス、そして水草を絵の具に見立てた
生きた絵画なのです。
流木や石、そして魚も重要な素材となります。
アクア機器の進化や画期的な底床の発明、ネットでの情報共有が可能となった今、
現代だからこそ実現し得る表現が、まさにこの“水の絵画”なのだと思います。
デザイン学部としては、この新しい表現分野に挑まない手はありません。
もし、モネや印象派の画家たちが現代に生きていたら、
この新しい“水の絵画”を知って、どのように反応したでしょうか。
彼らの時代には、水草や光、水のゆらめきといった自然の要素を
そのまま部屋に持ち込み、それを維持できる技術や道具は存在しませんでした。
物理的に自然をアトリエに取り込めないという前提のもと、
布キャンバスに絵の具という形で色彩を定着させ、
豊かな絵画表現の歴史を築いてきたわけですが、
もし当時、水草水槽が存在していたら、果たして彼らはそれを無視できたでしょうか。
光を追い求めた表現者たちが、もし2010年代に生きていたとしたら、
どのような方法でこの新しい水の表現に取り組んだのだろう――
そう考えると、想像が尽きません。
美とは何か、デザインやレイアウトとは何か。
私たちは自問せずにはいられません。
水草レイアウト水槽は、自然を知り、手を濡らし、芽吹く命とともに学ぶことができる、
きわめて豊かなデザイン教材だと考えています。

それでは、次回、仕切り直しましょう!🤣