タナカ このコンテストはADAが主催のコンテストですが、ネイチャーアクアリウムってことに関してはどうですか?
深田 これは僕が言っていいことかどうかわからないですが、非常にデリケートな問題になってきましたね。変な言い方だけど、コンテストで評価される水槽と、天野さんが広く提唱していこうとしてた水槽にちょっと今、乖離があるんですよね。
タナカ はいはい。それで数年前、審査基準が変わったり、それでも現状その乖離は見てとれますね。
深田 それをポジティブに捉えられる人とネガティブに捉える人と、あたりまえだけど出て来る。今のままだと、ポジティブ派とネガティブ派の距離感がなかなか埋まっていかないし、埋まるような兆しもない。だから、あの、本質は同じだと思っているんですよ。ただ、表現するアプローチの対象が違うだけで、審査員とか皆さんに評価してもらうように作るのと、これから、そういうのの興味をもって、こういう世界もあるんだね、私もおれもやってみたいって人に対する水槽と、アプローチの対象が違うんですけど、そういうことを話すときはすごく気を遣います。
タナカ 長くやってらっしゃる方はネガティブ派が目立ちますよね。こないだの表彰式でADA風ということを山田先生がおっしゃられてて、そういうのはやっぱり違和感を覚えるというか、じゃあ、見た目、水中感を増してネイチャーアクアリウムにすりゃあいいって話でもないような気もしますからね。
深田 キャリアがそんなにない中で、いろんなタイプ、僕達よりキャリアがたくさんある人達、そういう人たちが一緒に同席されてるような場所で、僕が何を言えるのかというのはすごく大変です(笑)
タナカ でも、意見求められたりしますからね、マイク向けられたり
深田 みんなから祝福されて、非常にありがたい話だけど
タナカ 必然的にアンチも出る(笑)
タナカ そろそろこのインタビューも〆に入ろうかと思いますが、本日は重要なお話しをたくさん聞かせていただきました、最後に、今後はこの世界コンテストに対してどのような態度で向かい合うというか、なんというか
深田 つい二年ほど前は、コンテストで評価してもらいたいとか希望だけでやってたんだけど
タナカ もう立場も変わっちゃいましたからね(笑)
深田 公人的な振る舞いも要求されるんですよ、生々しくリクエストされたり
タナカ 賞金100万受け取ってますから、それを2回、200万円分(笑)
深田 そういうことですよ(笑)
タナカ ADAに対してはそういう振る舞いを求められるでしょうしね、やったほうがいいと思いますし、水草の仲間や、業界からも声かけられることも増えていくでしょうし
深田 実は、業界の方からも最近お話しをいただくようなことがあって
タナカ それは、メーカーとか、ショップさんとかですか?メディアとかも
深田 ひとついえるのは、どれひとつ欠けてもダメってことなんですよ。僕自身もこれから水槽作っていくためにはどの人も必要なんです。そんないろんな人達のいる中でぼくがこれから、どういう方向に行ったほうがみんな一番ハッピーなのかなと考えるわけですよやっぱり
タナカ ここまで来ちゃうとね
深田 グランプリいただいたことはうれしいんだけども、コンテストだけに特化したことをやっててもしょうがないですよね。今度はいい意味でアウトプットしていかなきゃいけない。
タナカ 多くの人はまだ水草水槽なんて知らないですから(笑)
深田 幸いグランプリいただいたんで、比較的言いやすい立場ではある、聞いてもらいやすい立場でもあるんでそういうのを一番うまく活かすためには、やっぱりこう伝えていかなきゃいけないんですよね、周りの人にもこの業界だけでとどまっていないで、これまでやろうと思っていなかった自分のアトリエ以外で水槽をつくりましょうとか、子供向けに何かやってって言われたら、みんなが携わって何かできるようなことがあればいいなあと考えます。
タナカ 何があるでしょうね、ワークショップ、シンポジウムとかね(笑)カンファレンスとか(笑)
深田 中国ではすごい盛んなんです。日本では協会もないし、ADAというメーカーに皆が傾倒しているだけの状態、ゆくゆくはコミュニティというか、そういったものが必要になってくるのかもしれないなーと思ってますね。今ようやく俯瞰した目線になった
タナカ 俯瞰したいなあ~まだ底辺でキョロキョロしてます(笑)